長時間労働の抑制とメンタルヘルスのための労働安全衛生法の改正ポイント
メンタルヘルスのための労働安全衛生法改正ポイント
職場における労働者の安全と健康の確保のため、平成18年4月1日より、労働安全衛生法が改正されています。主な改正のポイントは、長時間労働者への医師による面接指導が義務付けられた点です。
長時間の労働により労働者の心身に疲労が蓄積されると、健康障害の発症リスクが高まります。労災認定された自殺事案には、長時間労働であったものが多いことから、うつ病等のストレスが関係する精神疾患等の発症を予防するためにメンタルヘルス面への配慮は欠かせないものとなっています。
長時間労働者への医師による面接指導の実施(法第66条の8、第66条の9、第104条)
- 対象:すべての事業場
- 事業者は、労働者の週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、労働者の申出を受けて、医師による面接指導を行わなければなりません。
(ただし、1か月以内に面接指導を受けた労働者等で、面接指導を受ける必要がないと医師が認めた者を除きます。)- 時間の算定は、毎月1回以上、基準日を定めて行わなければなりません。
- 医師は、労働者の勤務の状況、疲労の蓄積の状況その他心身の状況(メンタルヘルス面も含みます。)について確認し、労働者本人に必要な指導を行います。
- 事業者は、面接指導を実施した労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴かなければなりません。
- 事業者は、医師の意見を勘案して、必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じるほか、医師の意見の衛生委員会等への報告その他の適切な措置を講じなければなりません。
- 事業者は、次の 1 または 2 に該当する労働者にも、面接指導を実施する、又は面接指導に準ずる措置を講じるよう努めなければなりません。
- 長時間の労働(週40時間を超える労働が1月当たり80時間を超えた場合)により疲労の蓄積が認められ、又は健康上の不安を有している労働者(申出を受けて実施)
- 事業場で定める基準に該当する労働者
〜事業場で定める基準の例〜
- 週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超えた労働者及び2〜6か月間の平均で1月当たり80時間を超えた労働者全てに面接指導を実施する。
- 週40時間を超える労働が1月当たり80時間を超えた全ての労働者に、面接指導を実施する。
- 週40時間を超える労働が1月当たり45時間を超えた労働者で産業医が必要であると認めた者には、面接指導を実施する。
- 週40時間を超える労働が1月当たり45時間を超えた労働者に係る作業環境、労働時間等の情報を産業医に提出し、事業者が産業医から助言指導を受ける。